1.円貨預金の運用
円貨での運用は、低金利で厳しいですが、その中でも多少有利な運用を目指し、金利優遇キャンペーン、優位の金利を選好して、活用するのが良いでしょう。
・国内銀行の金利優遇
退職金、誕生日、株式保有者の金利優遇等のキャンペーンがある銀行があります。銀行金利の比較サイトを参照する、新聞・雑誌の投資関係記事を見る、銀行のHPを見る等して探すことができます。
・外国銀行の金利優遇
日本人には近づき難い外国銀行の中には日本の顧客と取引を希望している銀行があり、時々金利優遇キャンペーンをする場合があります。富裕層オンリーの外国銀行もありますが、そうでない外国銀行もあります。新聞・雑誌の投資関係記事を見る、銀行のHPを見る等して探すことができます。
・ネット銀行の金利
ネット銀行は有店舗の銀行と較べると金利ベースは高いです。銀行のHPを見る等して探すことができます。
2.円貨債券での運用
円貨での運用は、預金と同様に低金利で厳しいですが、その中でも多少有利な運用を目指していくのが良いでしょう。債券は、証券会社毎に新発債、既発債ともに取扱債券が異なるため、複数の証券会社の営業マンに依頼しておくと、時に良い商品を紹介してもらえることがあります。取扱債券の種類・数が多い大手の証券会社がお薦めです。ネット証券でもたまにありますが、数多い中から自分で見つけ出す必要があります。
なお、金利が高くても、デリバテイブを活用した仕組み債には注意が必要ですので、その仕組みを十分理解して投資するようにして下さい。また、期間の長い長期債券、信用格付けの低い債券については、金利が高いからと言って、リスクも高いので、慎重に投資して下さい。
3.外貨預金の運用
・外貨預金は、為替との関係で金利を見なければなりません。外貨は、為替レートの先行きを考慮して、交換手数料の安い銀行で外貨を購入した後、外貨預金として保有しながら金利の高い銀行に移して運用していくことが良いのではないかと思います。日本では、国内銀行間で自由に外貨移動・送金ができます。但し、送金手数料、中継銀行手数料、受取銀行手数料等の手数料が3000円~10,000円と高いので、ある程度のボリュームがないとコストがかかりすぎることになります。また、手続きが煩雑でもあります。
USドルは、金融緩和の終了により数度にわたり金利を上げていく計画がありますので、利上げが落ち着くまで3ヶ月程度の短期で運用していくのが良いでしょう。それでも、銀行によっては年率1%以上の金利が付くものがあります。
豪ドル、南アフリカランド等の高金利通貨は、経済状況によって、為替、金利の振れが大きいので、金利より主に為替動向を見て運用するのが良いのではないかと思います。
為替に自信のある人は、FXで運用するのも良いかもしれません。
4.外貨債券の運用
外貨債券での運用は、外貨預金と同様な方法で、運用を目指していくのが良いでしょう。
また、外貨債券は、円貨債券と同様に、複数の証券会社の営業マンに依頼しておく、取扱債券の種類・数が多い大手の証券会社がお薦めなのは、同じです。
但し、2016年1月から、債券税制が改正され、外貨債券を証券会社の特定口座に入れた段階の外貨と円貨の為替レートを取得時レートとされますので、注意が必要です。
例えば、1月1日に1USドルを120円で取得し、2月1日に為替が1USドル110円の時、1USドルの債券を購入(実質コストは120円)し、翌年7月1日に1USドル115円の時、債券を売却、又は償還した場合、
①当年の雑所得
売却価格110円-売却コスト120円=売却損失10円(雑損失)
②翌年の特定口座における売却損益(譲渡所得)は
売却価格115円-売却コスト110円=売却利益5円(所得税等の源泉課税対象)
という処理となり、損失と利益をネットすると5円の損失にも拘わらず、売却益5円に対して20%1円が源泉徴収されてしまうことになります。
また、雑所得は、年金、先物取引など他の雑所得内でしか損益通算できず、加えて翌年の売却年度の損失ではなく当年の売却損失になるので、損益通算の対象時期が早めに来てしまい、余裕期間が短くなってしまう訳です。加えて、この損失は3年間に亘る損失の繰越控除はできません。
債券を買った時点で1UDドルの外貨を売却したとみなすので、このような不都合な結果となります。
一方、1月1日に1USドルを110円で取得し、2月1日に為替が1USドル120円の時、1USドルの債券を購入(実質コストは110円)し、翌年7月1日に1USドル115円の時、債券を売却、又は償還した場合、
①当年の雑所得
売却価格120円-売却コスト110円=売却利益10円(雑所得)
雑所得が20万円までなら確定申告及び納税しなくてよいことになっています。
②翌年の特定口座における売却損益(譲渡所得)は
売却価格115円-売却コスト120円=売却損失5円
という処理となり、損失と利益をネットすると5円の利益にも拘わらず、売却損失5円に対しては源泉徴収がされないだけでなく、利息の配当等と損益通算、損失の繰越控除できるため、利息にたいしての税金が減少することになります。債券を買った時点で1UDドルの外貨を売却したとみなすので、このようなおかしな結果となります。
このような仕組みを利用して、円安の時に外貨で外貨債券を購入し、円高の時に購入額で売却または元本償還できれば、そのまま外貨で代金を外貨預金に移すと、売却時点の損失が実現し、売却時の利息の収入、その年の株式等の譲渡所得と損益通算、3年間の損失の繰越控除でき、それらの源泉税の還付を受けることができます。一方、キャッシュフローで見ると、外貨預金→外貨債券→外貨預金のように外貨建金額が変わらず、外貨の利息、源泉税の還付(円)がプラスとなってきます。
なお、外貨MMFも債券と同じ扱いなので、外貨⇔外貨MMF、外貨MMF⇔外貨債券の交換も売買扱いとなり、損益が発生しますので注意が必要です。
この事例は、外貨で外貨債券を購入する場合で発生しますが、円貨で外貨債券を購入する場合は外貨の購入時点と債券の購入時点が同じなので、この様な事例は発生しません。但し、円貨で外貨債券を購入する際に為替が有利な外貨を購入できるとは限らないため、為替が有利な時期、外貨債券が買える時期がうまくかみ合わなければ、有利な運用ができないことになります。
以上の通り、外貨債券の購入には為替と債券ともに有利な時期があるかどうかが重要なポイントとなります。