配偶者控除の改正について

2016年12月8日に決まった2017年度与党税制改正大綱は、2017年の通常国会で税制改正法案として提案される予定とのことですが、その目玉は配偶者控除の見直しです。

配偶者控除とは、一定の年収以下の配偶者(主に専業主婦)には年収がない被扶養者と同様に、扶養者(主に夫)の所得控除を38万円認めるものです。加えて、配偶者特別控除とは、一定の年収を超えると所得税が急激に増加するのを緩和するため、定められた年収までは所得控除を段階的に減らしていくものです。

今回の改正案では、配偶者控除については、年収要件を現在の103万円(配偶者の給与所得控除65万円+基礎控除38万円の合計)から150万円(内訳は不明)まで拡大するほか、配偶者特別控除についても、年収要件を141万円(103万円+38万円の合計)から201万円(150万円+51万円の合計)まで拡大します。一方、扶養者(主に夫)には新たに年収要件を導入し、1120万円以下は従来どうり38万円の控除、それを超えて1220万円まで段階的に控除を減額し、1120万円超になると控除はなくなります。配偶者特別控除も基本的には同様な形をとります。

今回の配偶者控除の見直しは、女性の社会進出を目指す働き方改革の一環の様ですが、2016年9月22日のブログ「扶養控除の改正」でも書いた通り、社会保険の免除となる基準として130万円(一定の条件に該当する場合は106万円)があり、所得税の配偶者控除の基準と整合がとれていないだけでなく、新たに所得税の配偶者控除150万円の基準ができ、より分かり難くなります。

果たして、この配偶者控除の見直しだけで働き方が変わるのでしょうか。欧米の中には、税と社会保険料のを一体として捉え段階的控除の仕組みがある国もあるようなので、日本においても税と社会保険料の負担基準の整合を図ることが求められます。