投資信託の投資のポイント① (千葉・市川で活動のファイナンシャルプランナーのブログ)

投資信託とは、
株式、債券等の投資商品をファンドマネージャーがファンドの積極・安全・バランス等の投資スタイル(方針)に従い運用する投資商品です。国内投資信託(投信)は5000本以上あります。

投資信託の種類
国内・海外別(国内発行型、海外発行型)
内容別(債券型、株式型、混合型、REIT,コモデティ、インフラ等)
地域別(国内型、先進国型、新興国型、混合型等)
投資スタイル別(積極投資型、安全投資型、バランス投資型等)
対象商品別(個別商品展開型、商品指数目標型)
運用対象別(元本・配当積立運用型、元本のみ運用型・配当分配型、配当・元本取崩型)

投資方式
積立投資型、一括投資型

節税タイプ別運用方式
確定拠出年金(ⅮC)での節税タイプ投資運用
個人型確定拠出年金(IDECO)での節税タイプ投資運用
日本型少額投資非課税口座(NISA)での節税タイプ投資運用
節税の内容は、下記の「投資信託の選択」の税金の欄を参照

(注意点)
・DCは会社が選択した運用機関毎に取扱商品が異なりますので、あまり良い商品がない場合もあります。運用機関を変えることはできないので限定された商品の中で、リスク許容度に応じて商品を選ぶしかありません。

・IDECOは、会社指定の運用機関があれば、その運用機関の商品を、なければ自分で運用機関を探すことができますので、選択肢、つまり商品の多い運用機関を探し出し、リスク許容度に応じて最善の商品を選ぶようにすることができます。

投資信託の手数料等のコスト
販売手数料、信託報酬、信託報酬留保額

(留意点)
・販売手数料がないノーロードの投資信託があります。
また、ETFは手数料が無料または、手数料が安いです。主にインターネット証券が取扱っています。
・信託報酬は毎年かかるので、運用期間×信託報酬率の比率がコストになります。
・手数料等に加えてリスク許容度、投資分散を加味しながら運用するのが良いでしょう。

資産配分の選択
・リスクに応じて積極運用型、安定運用型、バランス運用型のどれかを選ぶことになります。

投資信託の選択
・コスト:できるだけ手数料が安い、信託報酬が安い、信託報酬留保額がないものを選択します。

税金:投資信託の節税

・DC,IDECOは、拠出時に所得控除、運用時に非課税、分配時に課税となります。
拠出時に所得控除で課税されていないため、分配額が全額所得として扱われます。分配時に一時金でもらう場合には、退職所得に対する課税で、退職所得控除が適用されかつ1/2の所得控除ができるので、運用益がなくとも節税でき、通常の投資と比べ税金上は圧倒的に有利です。また、分配時に年金でもらう場合には、雑所得に対する課税で、公的年金等控除となり、一定額の控除を受けることが出来ます。損失が出た場合、拠出時に所得控除で課税されていないため、損失を控除、通算できません。そこで一時金又は年金のどちらが得かを考慮し、選択することになります。

・NISAは、拠出時に所得控除できない、運用時に非課税、分配時に非課税となります。
(下罫線の箇所がDC,IDECOとの違いです。)分配時に値上り益がある場合、その利益(泉分離所得)に対しては非課税となります。

・節税型となっていない通常の投資信託は、
値上り益がある場合には、それに対し20%の源泉分離課税が行われるほか、値下り損失がある場合には、確定申告により損失を株式等申告分離課税の所得の中で損益通算、3年間の繰越控除ができる仕組みがあります。

資産規模
・少なくとも50億円以上、できれば100億円以上が望ましいと思います。
・資産規模が小さいと、分散できない、投資効率が落ちる等の弊害があります。

運用期間
・信頼性があるのは、5年~10年以上の運用期間の実績のある商品です。
・好況、不況のサイクルを経た結果、結果を出している商品を選ぶことができます。

リスク許容度と投資分散
・どれだけ損が許容できるかにより商品選択を行います。
・リスク許容度の測定、投資分散を自分で、または専門家に相談して、投資を行います。
・人工知能(AI)によりリスク許容度を判定してもらい、そのリスク許容度の応じ商品提案をもとに投資分散することもできます。
・株式は、一般的に20%~25%、場合によっては40%~50%以上価格が変動するリスクがありますので、それを考慮する必要があります。
・なお、ETFについては、投資未経験者に長期の資産形成を促すため、今年から東京証券取引所が個人の長期投資に適したETFを公表するようです。(2017年2月17日日経新聞)

 

配偶者控除の改正について

2016年12月8日に決まった2017年度与党税制改正大綱は、2017年の通常国会で税制改正法案として提案される予定とのことですが、その目玉は配偶者控除の見直しです。

配偶者控除とは、一定の年収以下の配偶者(主に専業主婦)には年収がない被扶養者と同様に、扶養者(主に夫)の所得控除を38万円認めるものです。加えて、配偶者特別控除とは、一定の年収を超えると所得税が急激に増加するのを緩和するため、定められた年収までは所得控除を段階的に減らしていくものです。

今回の改正案では、配偶者控除については、年収要件を現在の103万円(配偶者の給与所得控除65万円+基礎控除38万円の合計)から150万円(内訳は不明)まで拡大するほか、配偶者特別控除についても、年収要件を141万円(103万円+38万円の合計)から201万円(150万円+51万円の合計)まで拡大します。一方、扶養者(主に夫)には新たに年収要件を導入し、1120万円以下は従来どうり38万円の控除、それを超えて1220万円まで段階的に控除を減額し、1120万円超になると控除はなくなります。配偶者特別控除も基本的には同様な形をとります。

今回の配偶者控除の見直しは、女性の社会進出を目指す働き方改革の一環の様ですが、2016年9月22日のブログ「扶養控除の改正」でも書いた通り、社会保険の免除となる基準として130万円(一定の条件に該当する場合は106万円)があり、所得税の配偶者控除の基準と整合がとれていないだけでなく、新たに所得税の配偶者控除150万円の基準ができ、より分かり難くなります。

果たして、この配偶者控除の見直しだけで働き方が変わるのでしょうか。欧米の中には、税と社会保険料のを一体として捉え段階的控除の仕組みがある国もあるようなので、日本においても税と社会保険料の負担基準の整合を図ることが求められます。

 

相続税対策のアパート賃貸経営のリスク

所有する土地に建物を建て賃貸すると土地および建物の評価額が下がり、相続時に発生する相続税が減少するため、アパート賃貸経営が相続税節税策として2015年度相続税の増税(基礎控除額の引下げ等)を契機に増加しています。
確かに、相続税は大幅に減少しますので、メリットは否定できません。しかし、、素人が簡単に手を出すと失敗する可能性があります。不動産のプロならば、アパート賃貸経営によりリスクを念頭に置きながら収益を確保することができるかもしれません。賃貸経営は、賃貸市場動向、物件の立地、投資と収益性のバランス、集客、空き室リスク、費用、修繕維持等を考慮しながら長期間かけて収益確保、投資回収を行うものです。また、事業としては、1~2物件をある特定の時期に始めるのではなく、時間をかけて少しづつ物件を増やし、それらを総合的に管理することによってリスクを分散しているわけです。

ところが、個人のアパート賃貸経営では、対象物件は、現在所有する物件だったり、仮に新たに取得する物件だったとしても現状の収益性のみを考慮した物件だったりすると、立地、集客、賃料水準、空き室リスク等の検討が不十分なため、最終的に収益確保、投資回収ができない場合が出てきます。最悪なのは、不動産を手放しても、借入金を返済できず借金だけ残ってしまうことです。くれぐれも、そうならないように、アパートの建築・改築資金等の投資の回収ができるかどうかを優先してアパート賃貸経営の是非を検討しなければなりません。

現在、日銀の異次元緩和により世の中にお金が溢れている中で、金融機関、建設業者、不動産業者が相続対策として売込みをかけており、容易く借入でアパート建築ができてしまいますので、注意が必要です。
また、業者の中には、全期間借上げ方式の契約を薦める例もありますが、業者のリスクヘッジのため賃料を安く設定したり、空き室がでたらさらに賃料を下げる、入居率減少に応じて賃料を引下げる等の契約条項、見直し条項があるケースが多いので、その際は空き室リスクは個人所有者が負担することになります。
加えて、日本は少子化による人口減で住宅は余ってきますし、地方から都市への人口移動により地方はますます過疎化してきます。東京の一等地は別にして都市近郊でも例外ではありません。空き家、空き室がどんどん増えていく中でのアパート賃貸経営は、ますます難しくなってきます。

以上のことから、アパート賃貸経営は、相続税対策ではなく、純粋に事業として成り立つかどうか十分シュミレーション等により検討を行った上で実行するする必要があると思います。

 

 

扶養控除の改正

最近、税制改正論議の中で扶養控除が新聞を賑わせていますが、扶養控除は所得税だけでなく社会保険等についても同時に検討が必要です。

所得税の扶養控除の非課税限度額・年間103万円(基礎控除38万円+給与所得控除65万円=103万円)が主に専業主婦からなるパート等の短時間労働を縛っているとの報道がなされています。パート等の短時間労働者は、年間給与が103万円以内の被扶養者であれば、夫等の扶養者の扶養控除として38万円を所得控除できることになっていますので、103万円の非課税限度内の年間給与にとどめるよう働く人が多く存在します。
一方、社会保険(年金、健康保険等)では、パート等の短時間労働者が被扶養者であれば一定条件のもとに保険料を免除されます。
その一定条件(概要)とは
①勤務先が正規従業員500人以下、年間給与106万円(月給8.8万円)未満、 週の労働20時間未満、勤務期間1年未満いずれかを満たす場合・・・2016年10月から適用
 ②上記以外で週の労働30時間未満かつ年間給与130万円(月給10.8万円)未満
となっています。

つまり、パート等の短時間労働者かつ被扶養者は、所得税の扶養控除と社会保険料の免除の両方が満たされたとき最大のメリットを受けることができますので、103万円の非課税限度内の年間給与にとどめる人が多いのです。現在、所得税の扶養控除の廃止、夫婦控除の新設によりパート等の短時間労働者の労働の自由度を上げることが検討されていますが、社会保険料の免除についても損得が発生しないような制度変更がなされなければ、短時間労働の縛り・壁を解消することはできないと思われます。実際に、日経新聞の記事によると短時間労働者の年間給与水準の分布は103万円を境にそれを超える人は急激に減少しています。
また、雇用主側においても社会保険料の負担増を避けるために年間給与を106万円の社会保険料免除限度額以内に収まるように短時間労働の内容を抑えてくるケースも予想されます。

 加えて、所得税の扶養控除、社会保険料の免除だけでなく保育所、保育士の不足等も短時間労働の制約条件となっています。
ですから、所得税の扶養控除が改正されたとしても、現状における短時間労働者の就業状態はあまり変わらない可能性が高いと思われます。

一方、2016年10月からの社会保険の制度改正により、被扶養者でない短時間労働者(自営業者の配偶者、未婚者等)のうち新たに健康保険、厚生年金等の加入員となり雇用主から社会保険料を徴収される人は、社会保険料の労使折半よって保険料の自己負担が減少し、かつ2階建て年金(報酬比例分)が加算されることになり、労働条件が改善されます。

いずれにしても、パート等の短時間労働者の活用を実現するため、政府は縦割りではない多方面にわたる総合的な施策を展開するべきでしょう。