損をしない投資、損をしにくい投資はある?

投資で損をしない方法を知りたいと考える人は多いのではないかと思います。
投資とは損失リスクを覚悟してリターンを目指すものなので、投資で損をしない方法はありません。

損をしない貯蓄方法としては預金がありますが、預金は原則、元本保証であり、リターンである利益も投資と比べ相対的にかなり低いです。日本では低金利でほとんど金利が付きません。但し、預金でもペイオフという制度があり、銀行等が破綻したときは、普通預金・定期預金であれば1000万円までは元本保証されるものの、それを超過した部分は保証されません。信用格付けが高く破綻の可能性の低い、規模の大きい銀行等に預金すれば安全度が増しますが、それでも絶対ではありません。1000万円毎に銀行を変えて預金すれば、元本保証にすることができますが、どちらにしてもリターンの金利はかなり低くなります。

そこで、リターンを期待したい人々は損失リスクを覚悟して投資をする訳です。投資とは国内外の株式、債券等に資金を投じることです。但し、リスクは商品に応じて高いものから低いものまであり、投資する人のリスク許容度により選別することになります。

一般的には以下の通り層別することができます。

投資種類 リスク
国内債券 低い(債券リスクのみ)
国内株式 高い(株式のリスク)
外国債券 低いが、為替リスクあり(債券のリスク+為替変動リスク)
外国株式 高く、為替リスクあり(株式のリスク+為替変動リスク)

 

そこで、損をしにくい投資、リスクの少ない投資とは、

1国内債券に投資する(個別債権に投資する、債券投資の投資信託に投資する)
2外国債券に投資する(個別債権に投資する、債券投資の投資信託に投資する)
ことです。

まず、第一に、債券は、発行会社が破綻した場合、投資金額が戻らないリスクがあるので、発行会社の信用格付が高く、破綻リスクが少ない銘柄を選ぶ必要があります。投資適格格付けは、BBB(トリプルB)以上です。

格付け 事例  信用度
AAA ドイツ国債、
米国債
最も高い
AA 英国国債、外国の一部の優良銀行 極めて高い
日本国債、
日本のメガバンク
高い
BBB スペイン、
イタリア国債
十分、但し注意すべき要素がある

・BB以下は投機的格付けです。
・各格付けの中を+、無し、-の三段階で分けています。
・なお、上記格付けは、ムーディーズ、S&P(スタンダード・アンド・プアーズ)、フィッチ・レーティングスの世界的な格付け会社に基づきます。なお、各会社によって格付けのずれがあります。

第二に、償還期間はどの程度になるか、つまり流動性がどのくらい落ちるかを検討します。中期債券では、3年、5年、長期債券では、10年以上で、20年、30年という超長期のものもあります。なお、長期債券を保有している場合は、償還前に資金需要が生じて途中売却すると、その時点の金利情勢によっては、元本割れを生じることがありますので、注意が必要です。つまり、債券の利率より、売却時の利率が高い場合は、利差の利率で償還金額(=元本金額)から現在時点(残存期間)まで割引かれ、債券価格が値下がりするためです。残存期間が長ければ長いほど、値下がり幅が大きくなります。償還期間は資金が必要となるまでの期間までとする、または超長期の債券の投資は慎重に行うようにすることが賢明です。

第三に、債券の利回り(単利)がどの程度になるかを検討します。債権の格付けが低いほど、また償還期間が長くなるほど金利は高くなります。但し、償還期間が長いと上記の様なデメリットもあるので、格付け、償還期間、利率、資金需要を考慮し、債券投資を行うことが必要です。

個別の国内債券では、格付け次第ですが、金利収入を獲得し、途中売却がなければ元本を償還時に回収することができますので、低リスクで金利の収益を確保することができます。

また、格付けリスク分散のため国内の債券銘柄を分散投資する投資信託で投資する方法もあります。

通常、個別債券は発行会社が債券の販売会社に販売手数料を支払いますので投資家は手数料なしで債券を購入できますが、投資信託は、投資信託の販売会社等が間に入りますので、その手数料が発生します。また、信託銀行等に信託報酬を支払う必要があるので、費用がかさむ事になります。

最終的に、金利収益から当該費用を控除した後の収益がプラスになることも、マイナスになることもあります。

第四に、外国債券の場合は、為替変動により為替差損益が発生します。

まず、最終的に邦貨に戻したい場合は為替ヘッジをする方法を採ります。但し、個人では為替ヘッジをする手段がないので外国債券銘柄を分散投資する投資信託の為替ヘッジ付きで投資します。

最終的に、金利収益から為替手数料、為替ヘッジ手数料、販売手数料、信託報酬を控除した後の収益がプラスになることも、マイナスになることもあります。

もう一つは、為替ヘッジをしない方法です。
外国債券銘柄を分散投資する投資信託では、売却、解約時点の為替レートで換算された価格で売却、解約しますが、その際に購入時の為替レートとの差異が為替差損益として発生しますので、その差損益が、金利の収益に加減算されます。最終的に、金利収益から、為替手数料、為替差損益、販売手数料、信託報酬を控除した後の収益がプラスになることも、マイナスになることもあります。

三つめは、為替ヘッジをしないで個別の外国債券に投資する方法です。
個別の外国債券では、格付け次第ですが、外貨で金利収益を獲得し、途中売却がなければ外貨で元本を償還時に回収することができます。低リスクで外貨の金利収益を確保することができます。
なお、それを直ぐに邦貨に両替する場合には、交換時点の為替レートと購入時の為替レートとの差異が為替差損益として発生しますので、その差損益が、金利の収益に加減算されます。しかし、現在は、銀行、証券会社で外貨として預金することができるので、外貨のまま外貨預金で運用することができます。また、一部邦貨にする必要がある場合には、購入時の為替レートより円安になった時に交換すれば、為替差益を獲得することができます。また、為替手数料が安いネット銀行等で交換するために、外貨送金を行うことができます。

これ以外に、国内債券、外国債券に加えて国内株式、外国株式を組み合わせる等、リスクを分散する方法があります。しかし、株式のリスク自体は減るわけではなく、分散によりリスクが平準化されているだけであることを認識しておく必要があります。

債券投資を以下の通りまとめてみました。

内外 投資区分 収益
国内債券 個別投資 国内金利
投資信託で分散 国内金利-販売手数料-信託報酬
外国債券 個別投資、
為替交換あり
為替交換なし
外国金利-為替手数料±為替差損益
外国金利(外貨で保有運用が可能)
投資信託で分散為替ヘッジ付き 外国金利-為替手数料-為替ヘッジ手数料-販売手数料-信託報酬
投資信託で分散為替ヘッジ無し 外国金利-為替手数料-為替差損益-販売手数料-信託報酬

国内債券の金利は、大体ですが、10年の長期で格付けAなら下2桁(0.0X%)、格付けBBBなら下1桁((0.X%)、BBなら1桁(下位X%)で定期預金より若干良い程度です。

海外債券の金利は、通貨によって異なりますが、10年の長期で、3%弱(米)、5%(マレーシア)、8%(南ア)10%以上(ブラジル)等と違いがあり、為替手数料、為替差損益を加減算するとネットでプラスになることもマイナスになることもあります。

結論
現状では、国内債券では、金利は低金利のため、収益はあまり上がらず預金よりはましという感じです。

海外債券では、通貨により金利の幅があるため、価値が将来減少しない通貨をずっと持ちながら、短期的な為替差損益を気にせず、外貨の金利収益を獲得していくのが良いのではないかと思います。

投資信託で運用すると、そこからさらに販売手数料、信託報酬等が徴収されるので、収益は上がりにくい構造ですが、プロに任せることにより、銘柄分散、価格変動・為替変動リスクの分散、為替ヘッジを図ることができます。但し、運用結果は投資者の自己責任となります。

 

 

 

 

2017年1月7日 | カテゴリー : 資産運用 | 投稿者 : ファインRアドバイザー