日銀の異次元金融緩和、マイナス金利導入にもかかわらず、最近はUDドルは100円近辺を維持していますが、さらに100円を切って90円台になる可能性もあるとの報道がなされています。
日本は、1000兆円を超える政府債務があるにも関わらす、他の債務国のように通貨が安くならないだけでなく、通貨が高く円高になっています。債務のほとんどが銀行等の日本国内の債権者からの債務であること、最近は経常収支が黒字であること、経済的・政治的に安定していること、米国がドル高を警戒していること等によるといわれています。
しかし、現在の日本の成長は微々たるものでGDPはほぼ横這いである、また少子化により経済規模は縮小する可能性がある、経常収支の黒字も原油安が原因でありそれが何年も継続するかどうかわからない、債務=借金を返せる状態ではない(GDPの200%超)等を考えると長期的には円は安くならざるを得ないと考えられます。
また、借金を返すには、インフレにより通貨の価値を減少させ実質的に借金を目減りさせなければならないとするとその面からも円の価値は減少せざるを得ません。(日本の終戦後、戦時の莫大な債務を強烈なインフレで実質的に減少させた過去の事例を忘れてはいけません。)
すると、円高は一時的なものでしかないはずですが、通貨の交換である為替は政治経済的思惑、投機の対象であり、経済の基礎的条件と乖離して動く場合もあるため、これからも円は高下を繰り返すことになるでしょう。
ただ、数十年という期間でとらえると、日本では、ブラジルの様にインフレとなり円の価値が減少していく可能性が高いことを念頭に置いておく必要があります。
そこで、何年もかけて外貨と円とがバランスをとれるように資産構成をしておくことが重要です。仮に50%ずつなら交換価値が変動してもフラットになります。人口が増加する見込みがある、将来の成長が期待できる、資源がある、世界的で最も流通している通貨を持っている、国力、国富がある等を考慮すると外貨はUSドルがお薦めです。
一方、ユーロもUSドルに次ぐ通貨ですが、移民、債務、離脱等によりEUの今後の継続・成行きにも不安があります。リスク分散の効果を狙うのも1つの方法ですが、リスクヘッジできるかどうかはわかりません。
いずれにしても、経済がグローバル化している現在、円という一国の通貨のみで資産を保有することにはリスクがあることを認識しておくことが重要です。